介護福祉学の到達点と将来像(仮題)
― 実践知と専門性に基づく質の確保
そこで、日本介護福祉学会によって蓄積された「実践知」ならびに「介護福祉の専門性」に関する知見を踏まえ、科学的根拠のあるデータを分析する事で具体的な解決策の提示を試みたのが本書である。「介護福祉学」の到達点を明らかにするとともに、介護福祉の将来像を展望した一冊。
介護福祉とは、高齢者や障害者など、支援を必要とする人々が社会において尊厳ある生活を営むために提供される、専門的かつ体系的な支援の総称です。この分野は、身体的、精神的なケアにとどまらず、生活の質の向上、社会参加の促進、家族支援など、多面的かつ総合的な視点に基づいた支援が求められます。また、介護福祉は単なる実践的活動ではなく、福祉政策や制度の運用、社会的支援体制との連携が不可欠であり、高度な専門知識と倫理的判断が必要とされる学際的な領域でもあります。超高齢社会の進展に伴い、介護福祉の役割は一層重要性を増しており、その深化と革新が強く求められています。
日本介護福祉学会は、介護福祉の現状を実証的に明らかにすると同時に、介護福祉のあるべき姿を理論的かつ技術的に社会に示すことを目的として結成されました。そして、2024年に設立30周年を迎え、30年にわたる軌跡を振り返り、学会の使命と今後の展望を明確にいたしました。本学会は、現在、以下の7つの領域を柱に、介護福祉学のさらなる理論的・実践的発展を目指しています。
「理論・制度・歴史」
「介護運営管理」
「高齢者および障害児・者の介護」
「家族介護および在宅介護」
「生活支援技術および方法論」
「介護福祉教育および人材育成」
「災害と介護福祉」
本学会は、倫理・知識・技術の体系から介護福祉学を構築することにより、介護福祉実践と教育・研究の質を高め、人々と社会の安寧に寄与することをめざしています。
日本介護福祉学会 会長鈴木俊文